旧国民宿舎の跡地活用の取り組み状況について

更新日:2021年03月08日

旧国民宿舎の跡地活用の取り組み状況に関して、平成29年9月に新たな宿泊施設を整備する事業者の公募をおこなった結果については、次のとおりです。

今回応募した事業者

旧国民宿舎につきましては、既存建物を市で解体し、その跡地に市の中核的な観光宿泊施設を整備し、長期にわたって運営していただくことを通して市のまちづくりに貢献し、共に地域活性化に取り組んでいただける民間事業者を平成29年9月29日から募集を開始し、平成30年1月19日の募集期限までに次の2事業者から応募がありました。

株式会社あくね舎(以下「あくね舎」)

市内の25の企業または個人が出資し、阿久根の観光振興のために設立。

HKRJapan株式会社(以下「HKR」)

香港に本社を持つ不動産業者の日本法人。

第1回選定委員会(平成30年1月16日)

市長を委員長とし、副市長以下、庁内関係課長7名を庁内委員に、観光宿泊に関する識者を含む8名を外部委員としてそれぞれ委嘱し、市が事業者募集に至ったこれまでの経緯等について説明をおこないました。

委員からは、新たな宿泊施設に寄せる市としての期待や、選定後は事業者と一緒に宿泊施設についてプロモーションしていくことの重要性などについて意見が出され、今後、どのようにして事業者を選定するべきかを確認しました。

第2回選定委員会(平成30年3月20日)

応募された2者それぞれから事業提案について直接選定委員に説明していただきました。
2者の提案内容はともにこれまでの国民宿舎の施設の形態や運営のあり方とは大きく異なり、富裕層をターゲットとした施設整備の構想でした。

事業提案の主な内容

あくね舎

複数の戸建て宿泊棟を10棟ほど設け、高価格帯の宿泊施設の具体の整備計画を描くもの。

HKR

旧国民宿舎跡地だけでなく、周辺地域を含む一帯を大規模に開発する構想で、国内だけでなく、海外からの一段上の富裕層を中心とした訪日客も集客することを想定したもの。

2者の提案に対する選定委員の主な意見

あくね舎

  • 地元阿久根の企業等による、地元の活性化につなげたいとの意向が伺える内容である。
  • 資金計画の見通しが甘く、収益を上げつつ、中長期的に経営を続けていくことは難しいのではないか。
  • 観光宿泊業としての実績がないため、事業を継続できるか不安がある。

HKR

  • 現在の観光施策のトレンドである心身の癒しを追求するウェルネスツーリズムの展開を想定した構想である。
  • 外資系ゆえの資金面での課題も小さく、将来性のある事業構想である。
  • 阿久根市における具体の事業計画が判然としない。

意見集約

2者の事業提案については、今後30年間、事業を展開していく事業者を選定するための決め手となる判断材料が十分とは言えず、どちらかを選ぶことは厳しいという意見が多く出されました。

これまでの委員会で選定委員から出された意見を踏まえた市長の考え

あくね舎

  • 宿泊施設のイメージは見えるものの、その運営手法は中長期的な事業採算性において厳しいものがある。
  • 市が募集要項で示す内容以上の支援を市に要請する内容になっている。
  • 将来における市の追加的な支援等が生じることにより、市民に大きな負担が向けられる可能性が否定できない。

HKR

  • 市のこれまでの様相を一変させ、周辺地域を含む一帯を大規模に開発する内容である。
  • 旧国民宿舎等の跡地において、どのように具現化していくかが、現段階で判然としない。

今回の募集に対する市長の考え

  • 今回の公募を機に、市としても単に宿泊施設を整備し、運営していただく事業者を選定するのではなく、事業者と協働しながら、これまでにない新たな観光誘客戦略やプロモーションのあり方を進めていくことの重要性を再認識した。
  • 2者の提案には市の魅力を国内だけでなく、海外に向けて発信するという点において共通している部分がある。
  • 市は、人口減少と高齢化の進展に歯止めをかけるため、地方創生や観光まちづくり戦略に関する取り組みをさらに前進させなければならない。
  • 市の将来の地域活性化につながる明るい展望と可能性を見いだせる事業者と、協働していくことが現状では最も適当である。
  • 数十年後の阿久根市の地域の姿を展望し、今後、旧国民宿舎跡地のみでなく、周辺一帯の観光振興施策を事業者と協力して進めるべきである。
  • 以上のことから、今回の募集については、募集要項に基づく事業者選定はできないものと考える。
  • 今後において、市は、より明るい展望と将来性がある事業構想を提案されたHKRとの間で市の観光振興施策を一緒に進めていきたいと考えている。
  • 私のこの考えについては、第3回選定委員会の中で、選定委員の皆さまにお諮りして意見をいただき、その結果も踏まえて最終的に決定したい。

第3回選定委員会(平成30年6月18日)

これまでの2回の会議において、委員から出された意見を踏まえた応募者への意向確認を含めた協議内容を説明しました。
今回の公募で、より明るい展望と将来性のある事業構想を示したHKRとの間で、本市の将来にわたる観光振興施策を協働で取り組む趣旨を示した協定の締結を目指すとの現時点における市長の考えを説明しました。
その後に、委員の皆さまから様々なご意見やご提案をいただき、昨年9月に示した募集要項に基づく事業者の選定については、委員会として事業者を選定することはできないとの一定の結論に達しました。
次に、市がHKRとの間で、本市の将来にわたる観光振興施策を協働で取り組む趣旨の協定を目指すとの考えについては、「近年海外からの訪日客数が著しい増加傾向にあり、近い将来において国内の旅行客数を上回るとの予想もなされており、訪日客の中でも一段上の富裕層が地方に流れつつあるという状況を的確にとらえ、ウェルネスを柱として誘客することは将来性のある戦略である」という意見がありました。
一方で、「事業者の阿久根における取り組みの本気度を、一定の時期で見極めることも必要ではないか」との意見もありましたが、最終的には市の考えに対して理解を示されました。

今回の募集に対する市の判断

市においても、2者の提案に関し、「あくね舎の内容は、将来において市への追加的な支援を求められる可能性が否定できない」、「HKRの内容は、示された事業構想を跡地でどのように具現化していくか現段階で判然としない。」との考えに至り、委員会におけるこの結論を受け、今回の募集については、募集要項に基づく事業者の選定はできないと判断しました。
選定委員会での結論を踏まえ、市としても、今回の募集については募集要項に基づく事業者は選定できないと判断しました。

今後における市の取り組み方針

市としては、数十年後の阿久根市の地域の姿を展望しながら、市の将来の地域活性化につながる明るい展望と可能性を見いだせる事業者と協働していくことが、現状では最も適当であると考えています。
このことから、市は、今回の公募でHKRが示した、旧国民宿舎跡地だけでなく、周辺地域を含めた一帯を活用した事業構想について、より明るい展望と将来性があるものと判断し、今後の市の観光振興施策をHKRと協働して取り組むこととし、その取り組みの基本的事項を定めた協定について、本年8月末の締結を目指していきたいと考えています。
なお、これまでの選定委員会における議論の詳細な内容につきましては、今後市で取りまとめ、整理させていただき、委員の皆さまにも確認いただいた上で、できるだけ早い段階で当ホームページに掲載する予定です。

HKRJapan株式会社およびHKRInternationalの概要

HKRJapan株式会社は、香港に本社を持つHKRInternationalの出資により設立された日本法人です。

HKRJapan株式会社の概要

  • 住所
    東京都千代田区丸の内3-3-1 新東京ビル6階
  • 代表者
    坂下 隆一
  • 設立
    2009年4月
  • 事業内容
    不動産の売買、賃貸、管理、開発等
  • 2017年期末総資産額
    1億5,573万円

開発事例

東京:プラウド六本木(HKRIおよび野村不動産共同開発:高級分譲マンション)、ホライズンプレイス赤坂、ハルーワ芝公園、蒼映パーク原宿、ヴェネオ南麻布(いずれもマンション) 他

北海道:ニセコ(ニセコアンヌプリ国際スキー場からも近い)総面積60,700平方メートル、開発計画を現在進行中。

HKRInternational Limitedの概要

1977年創業。1989年香港証券取引所に上場。香港、中国本土及びアジアにおいて不動産開発・投資、資産管理、高級ホテルサービスアパートメント、ヘルスケアサービスなど様々な分野で多角的に事業を展開。

香港での主力開発事業

  • ディスカバリーベイ
    約40年間の長い年月で開発した、あらゆる機能を統合したリゾートスタイルの居住地域。現在約19,000人が居住。

シンガポールの開発事例

  • ビューフォート・オン・ナッシム
    高級低層住宅プロジェクト、30戸の高級住宅で形成。
  • セントーサリゾート&スパ
    高級リゾート地・セントーサ島(6月12日の米朝首脳会談の開催地)にあり、シンガポール中心街から数分のロケーション。緑豊かな環境に恵まれたスタイリッシュで豪華なリゾート。

(注意):このほか、香港または上海、天津、バンコク、東京などアジアの主要都市においても、進行中の開発プロジェクトや投資案件や、竣工済みのプロジェクトを多数有する。

  • 2017年期末総資産額
    296億3,060万香港ドル(約4,026億円)
  • 2017年期末売上高
    22億3,410万香港ドル(約303億6,200万円)

戦略的パートナー

国内:住友林業株式会社、海外:シンガポール政府投資公社 他

(注意) HKRInternationalの会社概要については、下記リンクをご覧ください。

この記事に関するお問い合わせ先

財政課 財産活用推進係
〒899‐1696 鹿児島県阿久根市鶴見町200番地
電話番号:0996‐73‐1217
ファックス:0996‐72‐2029