阿久根七不思議
阿久根市には昔から「阿久根七不思議」と呼ばれるものがあります。江戸時代末に書かれた「三國名勝圖會」によると、「阿久根七奇」として「光礁」「隔岡の塩田」「大人の足形」「黒神岩」「岩船」「小潟崎穴」「尻無川」が挙げられています。また、大正4年に発行された「出水風土記」によると、前述のものに「五色濱」「鍋石」「龍の化石」のうち一つを七不思議に加える場合もあるとされています。
光礁(ひかるぜ)
市内戸柱の護国神社下の海岸にある岩で、伝説によると鉛を溶かしたような不思議な光を発する岩だといわれています。昔はその岩の下には黄金があって、そのために不思議な光を発すると思われていました。ある商人が黄金を得ようと人を雇って海底をくまなく掘ったが見つからず、金を探すために金を捨てたと笑いぐさになったという話が伝えられています。
隔岡(おかごし)の塩田
市街地近くの潟地区は海から数百メートルも離れ、しかも大きな岡に隔てられているにもかかわらず、地底から塩が出てくる不思議な場所です。この地区は江戸時代初期のころから塩が作られて、特に第2次大戦後は水田をつぶして製塩業を営む人が多くいました。伝説によると旅の僧(弘法大師との説もある)により製塩法を伝えられたといわれ、塩釜神社が祭られています(1710年)。現在は区画整理事業により整備されて見ることはできません。
大人(おおひと)の足形
市内山下地区の八幡神社前にある大きな石にある約60センチ程の人の足型のくぼみをそう呼びます。伝説によると、この地方に住んでいた天狗が村人たちにけしかけられて阿久根大島まで飛ぼうとしたときに踏み台にした石だと伝えられています。そのため「天狗の足跡」とも呼ばれています。
黒神岩(くろかみいわ)
海岸から数百メートルも離れた波留地区にある巨大な岩礁が立ち並ぶところで、これを黒神岩と呼んでいます。昔この辺りが海だったころの名残りといわれ、以前は付近一帯広々とした水田の中でしたが、今では公園となり周囲も住宅が立ち並んでいます。
岩船(いわふね)
折口海岸の折口川河口左側にある大岩です。日本三大急潮に数えられ海の難所として知られる阿久根北西部にある黒之瀬戸のうち最も潮の速い梶折鼻沖で、その昔梶が折られた船が折口海岸に流れ着き、そのまま岩となったものと伝えられています。現在は潮流の変化により完全に埋まってしまっています。また、その船に積んであった大鍋が流れ着いたとされるところには鍋石があり、地名も鍋石となっています。さらに鍋のふたや餅などが流れ着いたところとされる場所もあり、地名もそれらのものに起因しているといわれています。
佐潟穴(さがたあな)
佐潟地区の西側にある佐潟鼻にある洞窟です。入り口は人1人がやっと入れる大きさですが、中で広くなっており、いくつもの別れ道が連なっています。地元の人でも奥を極めた人はいないといいます。昔の穴住居だともいわれ、また甑島までつながっているともいわれています。
また、佐潟穴付近の佐潟鼻にはハマユウが自生しており、7月中旬から8月中旬に見頃を迎えます。
尻無川(しりなしがわ)
大川の尻無地区を流れる川です。川の水は海へと流れ出ていきますが、その川尻がないため、この名がついたものと思われます。三国名勝図會には「大川尻無にあり、水勢頗る大なり、此川岸まで流れ至り、水忽ち沙中に入りて見えず、川口が塞がり、船出入なし因って住古より、尻無川と呼び、亦此地を俗に尻無村といふ」と記されています。
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更新日:2024年11月25日