○阿久根市男女共同参画推進条例
令和3年3月16日
条例第5号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 男女共同参画を阻害する行為の禁止等(第8条・第9条)
第3章 男女共同参画の推進に関する基本的施策(第10条―第15条)
第4章 阿久根市男女共同参画審議会(第16条―第21条)
第5章 雑則(第22条)
附則
我が国では、日本国憲法において、個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、国際社会の取組と連携の下、男女平等の実現に向けた様々な取組が進められてきた。
阿久根市においても、男女共同参画計画を策定し、男女共同参画に関する様々な施策の推進に努めてきた。
しかしながら、今なお、性別による固定的役割分担意識や、これに基づく社会的慣行、配偶者等に対する暴力など解決しなければならない課題が残されている。
これらの課題解決に加え、少子高齢化、情報化、国際化の進展など、急激な社会情勢の変化に対応し、互いに人権を尊重しつつ責任を分かち合い、性別にかかわりなくその個性と能力を十分に発揮することができるよう、男女共同参画社会の実現を一層推進していくことが、阿久根市の将来にわたる豊かで活力あるまちづくりのために重要である。
ここに、男女共同参画社会の実現を目指して、基本理念を定め、市、市民及び事業者等が一体となって総合的かつ計画的に男女共同参画を推進するため、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、市、市民及び事業者等の責務を明らかにするとともに、市の基本的な施策に関する必要な事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会の実現に寄与することを目的とする。
(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保されることにより、等しく政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
(3) 市民 市内に居住し、勤務し、又は在学する全ての個人をいう。
(4) 事業者等 市内において事業活動を行っている個人及び法人その他の団体をいう。
(5) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動により相手に不快感を与え、相手の就労環境その他生活環境を害し、又は不利益を与える行為をいう。
(6) ドメスティック・バイオレンス 配偶者、交際の相手方等親密な関係にある又はあった者の間において、個人の尊厳を侵すような身体的、精神的、社会的、性的又は経済的な暴力をいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画は、次に掲げる基本理念に基づいて推進されなければならない。
(1) 男女の人権の尊重 男女の個人としての尊厳が重んぜられ、男女が直接的であるか間接的であるかを問わず、性別による差別を受けずに個人としての能力を発揮する機会が確保されること。
(2) 社会における制度又は慣行についての配慮 社会における制度又は慣行などが、性別による固定的な役割分担等を反映し、活動の選択に対して中立ではない影響を及ぼすことにより、男女共同参画社会を阻害する要因となるおそれがあることを考慮し、性別によらず、全ての活動が中立なものになるように配慮されること。
(3) 政策等の立案及び決定への共同参画 男女が社会の対等な構成員として、職場、地域、学校、家庭その他の社会のあらゆる分野における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。
(4) 家庭生活における活動とその他の活動の両立 家庭において、家族を構成する全ての人が相互の協力と社会の支援の下に、子どもの養育や家族の介護、その他の家庭生活における活動について、家族の一員としてお互いに役割を円滑に果たし、かつ、当該活動以外の活動に参加できるよう配慮すること。
(5) 教育の場における配慮 社会のあらゆる分野における教育や学習の場において、男女共同参画の重要性が認識されるよう配慮されること。
(6) 心身の健康についての配慮 男女が、互いの身体的特徴及び性に関する理解を深めるとともに、妊娠、出産その他性と生殖に関し、個人の意思が尊重されること及び生涯にわたる心身の健康に配慮すること。
(7) 国際的協調 男女共同参画の推進が、国際社会における取組と密接な関係を有していることを考慮し、国際的協調の下に行われること。
(市の責務)
第4条 市は、男女共同参画の推進について、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、及び実施しなければならない。
2 市は、男女共同参画の推進に当たり、市民、事業者、国及びその他地方公共団体と連携し、協力して男女共同参画の推進に取り組まなければならない。
(市民の責務)
第5条 市民は家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に努めるとともに、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者等の責務)
第6条 事業者等は、その事業活動を行うに当たり、基本理念にのっとり、男女が共同して参画することができる体制や職場環境の整備をしなければならない。
2 事業者等は、市が実施する男女共同参画社会の促進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(教育に携わる者の責務)
第7条 学校教育その他のあらゆる教育に携わる者は、男女共同参画の推進に果たす教育の重要性にかんがみ、基本理念に配慮した教育を行うよう努めなければならない。
第2章 男女共同参画を阻害する行為の禁止等
(阻害する行為の禁止)
第8条 何人も、職場、地域、学校、家庭その他の社会のあらゆる分野において、直接的であるか間接的であるかを問わず、性別による差別的取扱いをしてはならない。
2 何人も、社会のあらゆる分野において、セクシュアル・ハラスメント、ドメスティック・バイオレンスその他他者に対して身体的若しくは精神的苦痛を与え、又はそれを助長するような行為をしてはならない。
(公衆に表示する情報の表現への配慮)
第9条 何人も、公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担意識、セクシュアル・ハラスメント又はドメスティック・バイオレンスを助長する表現及び男女共同参画を阻害するおそれのある性的表現を行わないよう努めなければならない。
第3章 男女共同参画の推進に関する基本的施策
(基本計画)
第10条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。
2 市長は、基本計画を策定するに当たっては、市民の意見を聴くとともに、阿久根市男女共同参画審議会に諮問しなければならない。
3 前2項の規定は、基本計画の変更について準用する。
(施策の策定等に当たっての配慮)
第11条 市は、男女共同参画社会の推進に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、男女共同参画の推進に配慮しなければならない。
(市民等の理解を深めるための措置)
第12条 市は、男女共同参画の推進に関する市民等の理解を深めるため、必要な広報啓発を行うとともに、教育及び学習機会の充実に努めるものとする。
2 市は、市民等の男女共同参画の推進に関する活動を促進するため、情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。
(防災分野における措置)
第13条 市は、防災、災害対応、復興その他の災害に関するあらゆる場面において、男女共同参画の視点を取り入れた施策及び被災者支援を行うよう努めるものとする。
(調査研究)
第14条 市は、男女共同参画の推進に関し必要な調査及び研究を行うものとする。
(市民等の申出への対応)
第15条 市は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策又は男女共同参画に影響を及ぼすと認められる施策についての市民、事業者等からの申出があったときは、適切に処理するよう努めるものとする。
2 市は、第8条に規定する行為その他の男女共同参画を阻害する行為に関し市民、事業者等の申出があったときは、適切に処理するよう努めるものとする。
第4章 阿久根市男女共同参画審議会
(設置)
第16条 男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進する上で必要な事項を審議するため、阿久根市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(組織)
第17条 審議会は、委員16名以内をもって組織する。
2 委員は、各種団体から推薦された者、男女共同参画の推進に関し識見を有する者又はその他必要と認める者のうちから市長が委嘱する。
3 委員を委嘱する場合においては、男女共同参画推進の観点から、男女のそれぞれの数について配慮するものとする。
(委員の任期)
第18条 委員の任期は、2年以内とする。ただし、再任を妨げない。
2 委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(会長及び副会長)
第19条 審議会に会長及び副会長各1人を置く。
2 会長及び副会長は、委員の互選によりこれを定める。
3 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。
(会議)
第20条 審議会の会議(以下「会議」という。)は、会長が招集し、会議の議長となる。
2 会議は、委員の過半数が出席しなければ開くことができない。
3 会議の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
(庶務)
第21条 審議会の庶務は、企画推進課において処理する。
第5章 雑則
(委任)
第22条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、令和3年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際現に策定されている基本計画は、第10条第1項の規定により策定された基本計画とみなす。
(阿久根市非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
3 阿久根市非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和41年阿久根市条例第1号)の一部を次のように改正する。
(次のよう省略)
附則(令和6年3月条例第11号抄)
(施行期日)
1 この条例は、令和6年4月1日から施行する。