○阿久根市環境基本条例
平成13年3月29日
条例第16号
私たちの郷土阿久根市は、南北40キロメートルに及ぶ海岸、人々にやすらぎをもたらす田園風景、四季の移ろいを伝える山々など美しい自然環境に恵まれている。
私たち阿久根市民は、この美しい自然のなかで、豊かな恵みを受けながら健やかな生活を営んできた。
しかし、これまで社会の繁栄を支えてきた大量生産、大量消費及び大量廃棄の社会経済活動は、環境に大きな負荷を与えており、オゾン層の破壊、異常気象、地球温暖化等地球的規模で環境に影響を及ぼしている。
このような環境への負荷をできる限り低減し、かけがえのない財産である阿久根市の自然を守り、育て、そして次の世代へ引き継いでいくことは、私たちの責務である。
そのためにも、私たちは、環境が生きるものの根源であることを認識し、自らの生活、社会経済活動を見直し「自然と人が共生するまちづくり」を進めるため、すべての市民参加の下に健全で恵み豊かな環境を築き、これを将来の世代に引き継いでいくことを決意し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、本市の環境の保全について、基本理念を定め、並びに市、事業者及び市民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「環境への負荷」とは、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。
2 この条例において「地球環境の保全」とは、人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。
(基本理念)
第3条 環境の保全は、市民の健康で文化的な生活の基盤である健全で恵み豊かな環境を確保し、その環境が将来の世代に継承されるように適切に行われなければならない。
2 環境の保全は、自然と人間との共生を基本として、環境への負荷の少ない資源の循環を基調とする社会が構築されるように適切に行われなければならない。
3 環境の保全は、地域の環境が地球全体の環境と深くかかわっているという認識の下に、すべての事業活動及び日常生活において推進されなければならない。
4 環境の保全は、すべての者が公平な役割分担の下に、自主的かつ積極的に取り組むことによって行われなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に定める環境保全についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、これを実施するものとする。
2 市は、基本理念にのっとり、前項の施策の策定及び実施に当たっては、環境への負荷の低減その他環境の保全に努めなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、基本理念にのっとり、事業活動に伴う環境への負荷の低減その他環境の保全について自己の責任と負担において、必要な措置を講ずるものとする。
2 事業者は、基本理念にのっとり、市が実施する環境の保全に関する施策に協力するものとする。
(市民の責務)
第6条 市民は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。
2 市民は、環境の保全に関する活動への積極的な参加に努めるとともに、市が実施する環境の保全に関する施策に協力するものとする。
(市の施策)
第7条 市は、環境の保全に関する施策を策定し、及びこれを実施するに当たっては、次に掲げる事項を基本とし、総合的かつ計画的に推進するものとする。
(1) 人の健康が保護され、及び生活環境が保全され、並びに自然環境が適正に保全されるよう、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持されること。
(2) 生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保が図られるとともに、森林、農地、河川、海岸等における多様な自然環境が適正に保全されること。
(3) 人と自然との豊かな触れ合いが保たれ、ゆとりとうるおいのある快適な環境が保全されること。
(4) 自然と調和した良好な都市景観及び居住環境が形成されること。
(5) 環境教育及び広報活動の推進により環境に対する意識の高揚が図られること。
(6) 地球環境の保全に適切な配慮がなされること。
(環境基本計画)
第8条 市長は、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、環境の保全に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を定めるものとする。
2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 環境の保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱
(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 市長は、環境基本計画の策定に当たっては、市民及び事業者の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるとともに、あらかじめ、阿久根市環境審議会の意見を聴かなければならない。
4 市長は、環境基本計画を定めたときは、これを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
(施策の策定等に当たっての配慮)
第9条 市は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及びこれを実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図るとともに、環境の保全について配慮するものとする。
(環境学習等の推進及び自発的活動の促進)
第10条 市は、環境に関する学習及び教育の推進並びに環境に関する広報活動の充実により、市民及び事業者が環境の保全についての理解を深めるとともに環境の保全に関する活動が自発的かつ積極的に行われるようにするため、必要な措置を講ずるものとする。
(資源の循環的な利用の促進)
第11条 市は、環境への負荷の低減を図るため、市民及び事業者による資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用及び環境の負荷の低減に資する製品等の利用並びに廃棄物の減量、再利用及び適正な処理が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。
2 市は、施設の建設及び維持管理その他の事業の実施に当たっては、資源の循環的な利用及びエネルギーの有効利用並びに廃棄物の減量、再利用及び適正な処理に率先して努めるものとする。
(市民及び事業者への支援)
第12条 市は、市民及び事業者による環境の保全に関する活動を促進するため、必要な支援に努めるものとする。
(環境審議会)
第13条 環境の保全に関する基本的事項を調査審議するため、阿久根市環境審議会(以下「審議会」という。)を設置する。
2 審議会は、市長の諮問に応じて、環境基本計画その他環境の保全に関する基本的事項を審議する。
(審議会の組織)
第14条 審議会は、委員15人以内で組織する。
2 委員は、次に掲げる者のうちから、市長が委嘱する。
(1) 環境の保全に関し学識経験を有する者
(2) 関係行政機関の職員
(3) その他市長が適当と認める者
(審議会の委員の任期)
第15条 委員の任期は、2年とし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、再任されることができる。
(国及び他の地方公共団体との連携)
第16条 市は、環境の保全を図るため必要があると認めたときは、国及び他の地方公共団体と連携してその施策を推進するとともに、国及び他の地方公共団体に対し必要な措置を講ずるよう要請するものとする。
(推進体制)
第17条 市は、市の機関相互の緊密な連携及び施策の調整を図り、環境の保全についての施策を推進するための体制を整備するものとする。
2 市は、事業者、市民又はこれらの者の組織する民間団体等と協働して、環境の保全についての施策を積極的に推進するための体制を整備するものとする。
附則
この条例は、平成13年4月1日から施行する。